『モルク・ボルグ(MÖRK BORG)』は、滅びが決まった世界で、盗掘者や神秘家がわずかな救いと財宝を探してさまよう、ダークファンタジーのテーブルトークRPG(TRPG)です。出版社の Free League は、この本を「ドゥームメタルのアルバムのようなゲーム」と紹介しており、ルールは軽く、それ以外はすべて重いと宣言しています。2020年の ENNIE Awards では、Best Game を含む4部門を受賞しました。
判定は20面ダイスを1個振って能力値の修正を足すだけで、ルールの量は少なめです。一方で本の大半は、黒、白、黄、赤、ピンクの5色で刷られた絵と文字の洪水のようなデザインに費やされています。レビューでもこの点で評価が割れました。ある評者はコーヒーテーブルに飾っておきたいと書き、別の評者は「デザインのままでは使いにくい」と述べています。
キャラクターがあっさり死ぬ短いキャンペーンを、暗い題材ごと楽しめる卓に向いています。ルールの細部まで本に決めてほしい卓や、TRPG が初めての人だけで始める卓では、つまずくところが出てくるはずです。
モルク・ボルグの基本情報
| ゲーム名 | MÖRK BORG(モルク・ボルグ) |
|---|---|
| 種別 | TRPG のコアルールブック(ハードカバー) |
| 人数 | 2〜6人(出版社の表記) |
| 対象年齢 | 16歳以上(出版社の表記) |
| デザイナー | Pelle Nilsson、Johan Nohr |
| 出版社 | Free League(独立系作品向けのレーベル Free League Workshop。型番 FLW01) |
| 発売 | 2020年 |
| ページ数 | 96ページ(Cannibal Halfling Gaming のレビューによる) |
| 言語依存 | 高い。ルール、表、世界設定のすべてが英語の文章です |
| 日本語版 | 今回調べた出典では確認できませんでした |
ハードカバー1冊に入っている内容は次のとおりです。
- 死にゆく世界の案内
- 世界の終わりの早さを決める「ネクルベル暦」
- 現実をねじ曲げる20のオカルトパワーと、同じ数の魔法の破局
- 前兆(Omens)やクラスなどの追加ルール
- 12体のクリーチャー
- 死体あさりやダンジョン生成の表など、GM 用の道具
- 入門用のダンジョン「Rotblack Sludge」
モルク・ボルグのルールと遊び方
以下は、出版社の紹介や、RPGBOT と Cannibal Halfling Gaming のレビューからルールをまとめたものです。出版社はこの本を OSR と呼ばれるジャンルの完結したゲームと位置づけ、世界最大の RPG の多くの版とルールを合わせやすいと説明しています。
キャラクター作成は数分、能力値は4つ
能力値は敏捷(Agility)、存在感(Presence)、筋力(Strength)、頑健(Toughness)の4つです。3個の6面ダイスを上から順に振って1〜20の値を出し、それを -3〜+3 の修正に置き換えます。以後のゲームで使うのは修正のほうだけです。初期 HP は頑健に8面ダイスを足した値で、RPGBOT によれば1〜11の幅に収まります。武器や防具などの持ち物も表を振って決めるので、作成はすぐに終わります。
クラスは任意ルールです。使うときは能力値の振り方に差がつき、固有の能力が加わります。使わないときは、4個のダイスを振って最も低い1個を捨てる方法も選べます。
判定は d20 を振るだけ、敵はダイスを振らない
行動の成否は、20面ダイスに能力の修正を足して、難易度(DR)と比べて決めます。戦闘の判定も同じ仕組みで、近接攻撃、射撃、パワーの使用、防御の基本難易度は12です。先攻は6面ダイスで陣営ごとに決めます。
変わっているのは、敵が攻撃のダイスを振らない点です。敵から攻撃されたとき、プレイヤーが20面ダイスで防御の判定をします。成功と失敗がすべてプレイヤー側の出目で決まるため、卓の緊張感はプレイヤーの手元に集まります。
HP がマイナスになれば死亡です。ちょうど0なら4面ダイスを振り、4が出るとやはり死亡します。敵には士気の値があり、リーダーが倒れた、仲間の半数が死んだ、HP が3分の1を切ったといった場面で、GM が6面ダイスを2個振り、逃げるか降伏するかを決めます。
魔法は巻物、失敗すると破局
パワーは巻物の形で手に入り、「不浄の巻物」と「聖なる巻物」が10種類ずつあります。1日に使える回数は存在感の判定で決まります。両手武器を持っているときや中鎧、重鎧を着ているときは必ず失敗します。失敗すると HP を少し失い、その後1時間は魔法が破局的な失敗を起こします。出目が1ならその場で破局が起き、表には自分の邪悪な分身が現れるものから、双頭のバジリスクに食われるものまで並んでいます。
ネクルベル暦で世界が終わる
キャンペーンの始めに、卓で100面から2面までのどのダイスを使うかを決めます。GM は毎朝そのダイスを振り、1が出るたびに災厄が1つ起きます。災厄は36種類あり、6つ起きた後の7つ目が世界の終わりです。Third Coast Review によれば、最後の封印が破れたときの指示は「ゲームとおまえたちの命はここで終わる。本を燃やせ」というものです。小さいダイスを選べば世界は早く終わり、大きいダイスを選べば長いキャンペーンになります。
モルク・ボルグの面白さと評価
本を読むこと自体が遊びの一部になる
Cannibal Halfling Gaming は、全96ページを「派手な暴力と陰鬱の約48見開き」と表現し、ルールだけなら16ページもあれば収まるだろうと述べています。それでも削らないのは、本が遊び方だけでなくゲームの見た目や空気感まで伝えているからだ、というのがこのレビューの見解で、「モルク・ボルグを読むことは遊ぶことの不可欠な一部」とまで評しています。
Third Coast Review の評者は、ルールを読まずにページをめくるだけでも想像がふくらみ、最初にひと通り読み終える前からキャンペーン全体の構想が浮かんだと書いています。2020年の ENNIE Awards で Best Layout and Design と Best Writing を受賞した点も、この評価と重なります。
準備が軽く、すぐ卓を立てられる
RPGBOT の評者は、D&D 第5版では入門セットを回せる自信がつくまで何時間も読み込んだのに対し、モルク・ボルグは本を読んだ後、約30分の準備でセッションを回せたと書いています。本の最初と最後のページには、主なルールと出目の早見表が載っています。
死にやすさを楽しむ設計
Third Coast Review の評者は、これまで遊んだ TRPG の中で、モルク・ボルグのクリティカル表がいちばん気に入ったと書いています。
気になる点
いちばん多い指摘は、デザインが読みやすさを犠牲にしている点です。Watcher DM は、見事な絵だと認めたうえで、本は「デザインどおりでは事実上使えない」と述べ、どこから読み始めればよいかも分かりにくいとしています。Third Coast Review も、ページの縁に横向きで印刷された文字や、装飾の強い文字が読みにくかったと述べています。
ルールの細部はあいまいなところが多く、RPGBOT は GM がその場で裁定を下す覚悟が必要だと述べています。Third Coast Review は、D&D などの経験者なら空白を埋められるものの、初心者だけの卓には向かないかもしれないとしています。
実際に遊んだ感想でも評価が分かれます。Watcher DM の卓では、20面ダイスを使うため失敗が何度も続き、プレイヤー側がダイスを振るルールのせいで攻撃の失敗がそのまま被弾につながって、死にやすさが滑稽に感じられたそうです。キャラクターの成長も小さく、決められた難易度と戦闘は卓に合わなかったと述べています。同じレビューでは、死や腐敗を扱う題材の一部が、意味よりも衝撃を狙っているように見えるとも指摘しています。
巻末の入門ダンジョン「Rotblack Sludge」にも注文がついています。Cannibal Halfling Gaming は部屋の描写を良い手本と評価しつつ、15部屋のつくりはやや一本道だとしています。Third Coast Review の評価は、本編の表現に比べると拍子抜けするほど素朴、というものでした。
モルク・ボルグはこんな人におすすめ
向いているのは、キャラクターの死を受け入れて、暗い題材を楽しめる卓です。キャラクターを長く育てたい人には合いにくいでしょう。対象年齢は16歳以上で、レビューでも死や腐敗の描写が強調されているため、遊ぶ相手と題材の確認はしておいたほうが安全です。ルールの空白を自分たちで埋めるのが苦にならない GM や、ほかの OSR 系ゲームに流用できるアイデアと表を探している人、本そのものを手元に置いておきたい人にも合います。
ダイスを新しく揃えるなら、当店のブログには TRPG 向けダイスを紹介した『ハロウィンダイス Q-Workshop パンプキンセット』の記事もあります。モルク・ボルグでは20面のほか、4面、6面、8面などのダイスも振ります。
モルク・ボルグの輸入版で遊ぶときの注意
当店で取り扱っているのは英語版です。日本語説明書は付きません。TRPG のルールブックなので、遊ぶには GM が本文を読んで内容を把握する必要があります。
英語であることに加え、デザインそのものの読みにくさにも備えておくと安心です。Watcher DM は、絵を省いた版(Bare Bone Edition)を手元で併用するよう勧めています。RPGBOT では、コミュニティが作った内容を公式チームのレイアウトと絵で出版するサブレーベル Mörk Borg Cult や、オンラインの補助資料を紹介しています。
よくある質問
モルク・ボルグは何人で遊べますか?
出版社の表記は2〜6人です。対象年齢は16歳以上です。
英語が苦手でも遊べますか?
英語版で、日本語説明書は付きません。ルールの量は少なめですが、GM はルールや表、世界設定を英語で読む必要があります。
この1冊だけで遊べますか?
ルール、クリーチャー12体、GM 用の表、入門ダンジョンまで1冊にまとまっています。出版社も、そのまま遊べる完結したゲームと説明しています。
キャンペーンの長さはどう決まりますか?
ネクルベル暦で決まります。卓で選んだダイスを GM が毎朝振り、1が出るたびに災厄が起き、7つ目の災厄で世界が終わります。小さいダイスほど早く終わります。
商品情報
価格は 5,748 円です。新品未開封の並行輸入品で、英語版です。日本語説明書は付属しません。
モルク・ボルグの商品ページ
通販ページで商品を確認する参考情報
- Free League「MÖRK BORG」: https://freeleaguepublishing.com/games/mork-borg/
- RPGBOT「Mörk Borg – A Review」: https://rpgbot.net/mork-borg-a-review/
- Cannibal Halfling Gaming「Mörk Borg Review」: https://cannibalhalflinggaming.com/2020/04/15/mork-borg-review/
- Third Coast Review「TTRPG Review: MÖRK BORG」: https://thirdcoastreview.com/2020/09/24/ttrpg-review-mork-borg
- Watcher DM「MÖRK BORG Review」: https://watcherdm.com/2023/09/02/mork-borg-review/