『ラー(Ra)』は、古代エジプトを舞台に、袋から引いたタイルのまとまりを太陽ディスクで競り落としていく2〜5人用のボードゲームです。ライナー・クニツィア(Reiner Knizia)がデザインし、1999年にドイツの alea から出版されました。当店で扱うのは、2022年に 25th Century Games が発売した第4版で、アートワークはイアン・オトゥール(Ian O'Toole)が担当しています。
多くの競りゲームでは、手持ちのお金を好きなだけ入札に使えます。一方『ラー』では、入札に使う太陽ディスクに数字が書かれており、全員の手元が公開されています。競りは1周しか回りません。誰がどの数字を出せるかは全員に見えています。それでも、いつ競りを始めるか、どのタイルのまとまりに手を出すかで悩み続けるのがこのゲームです。
競りゲームに慣れていない人を含めて3〜5人で遊ぶときに向いています。一方、袋から引くタイル次第で展開が変わるので、運の要素を嫌う人には合わない場面もあります。初版から25年以上、版元を変えながら再版されてきた作品で、英語版でもルールを押さえれば遊べます。
ラー(Ra)の基本情報
| ゲーム名 | Ra(ラー) |
|---|---|
| 人数 | 2〜5人 |
| 時間 | 30〜60分(出版社の表記) |
| 対象年齢 | 12歳以上 |
| デザイナー | ライナー・クニツィア(Reiner Knizia) |
| アートワーク | イアン・オトゥール(Ian O'Toole) |
| 出版社 | 25th Century Games(初版は1999年、ドイツの alea) |
| 内容物 | オークションタイル180枚、オークションボード1枚、プレイヤーボード5枚、ラー像1個、太陽の船マーカー1個、木製の太陽ディスク16枚、木製の時代カウンター1個、得点トークン80枚、布袋1つ、ルールブック |
| 言語 | 英語版(日本語説明書は付属しません) |
Wikipedia によれば、初期の版の対象人数は3〜5人で、2009年の Rio Grande Games 版から2〜5人に広がりました。2022年の第4版では、グラフィックが全面的に描き直され、タイルの種類ごとに置き場所と得点の早見表が付いたプレイヤーボードが加わりました。
ラーのルールと遊び方
準備と3つの時代
ゲームでは、「時代(エポック)」と呼ばれるラウンドを3回行います。各プレイヤーは、1〜16の数字が書かれた太陽ディスクを、人数に応じて3枚か4枚ずつ表向きで受け取ります。タイルはすべて布袋に入れ、手番ごとに引いていきます。
手番の3つの選択肢
手番では、次のどれか1つを行います。
- 袋からタイルを1枚引いて、競りの列に並べる。
- ラーを宣言して、列に並んだタイルのまとまりの競りを始める。
- 手元の神タイルを使う。
競りは1周だけ、出せるのは1枚だけ
競りが始まると、手番順に1周だけ入札します。入札するときは、手元の太陽ディスクを1枚選んで出すか、パスします。落札したプレイヤーは、タイルのまとまりと一緒に競り場に置かれていた太陽ディスクを受け取り、代わりに自分が出したディスクを競り場に置きます。受け取ったディスクは、次の時代に使います。
手元の太陽ディスクを使い切ったプレイヤーは、その時代の競りから抜けます。最後に1人だけ残ったプレイヤーは、ほかの人に邪魔されずに競りを続けられます。
ラータイルで時代が終わる
袋の中には「ラー」のタイルが混ざっています。ラーのタイルが出るたびに、第4版では太陽の船マーカーがボードの上部を進みます。決められた数のラーが出ると、その時代は強制的に終わります。最後まで残ったプレイヤーは袋から好きなだけ引けますが、ラーを引きすぎると何も取れずに時代が終わってしまいます。もう1枚引くか、ここで競りを始めるか。時代の終盤はこの判断の連続です。
得点の入り方
タイルは8つのカテゴリーに分かれており、カテゴリーごとに得点の入り方が異なります。ボドゲレビュアーズのレビューでは、時代をまたいで手元に残るものと、時代ごとに捨てるものに分けて紹介されています。
- 手元に残るもの:ファラオ(最も多い人が得点、最も少ない人が減点)、モニュメント(ゲーム終了時に種類と枚数で得点)、ナイル川(氾濫のタイルと組み合わせて得点)。
- 時代ごとに捨てるもの:金、ナイル川の氾濫、神、文明(1枚も無いと減点)。
タイルのまとまりには、獲得済みのタイルを捨てさせる災害タイルも混ざっています。3つ目の時代が終わったあと、モニュメントなどの最終得点を加え、合計点が最も高いプレイヤーの勝ちです。
ラーの面白さと評価
出せる額が見えているから、始めるタイミングで勝負する
ボドゲレビュアーズの NEZ さんは、ラーを「誰が勝つか見えている競りゲーム」と書いています。全員の太陽ディスクが公開されているので、相場は金額ではなくタイルの中身で決まります。たとえば、数字の小さいディスクしか持っていない人は、列のタイルがまだ少ないうちにラーを宣言します。大きい数字のディスクを持つ人に「この程度のまとまりに大きい数字は使いたくない」と思わせて、安く取りにいくわけです。
同じサイトのやすやすさんは、この仕組みを「各人が出せる手が見えている後出しじゃんけん大会」にたとえています。選択肢は、参加しないか、手持ちのどの1枚を出すかに限られます。手番が後になるほど選べる手は狭まり、勝つか負けるかが分かりやすいことが、競りゲームが苦手な人でも遊べる理由として挙がっています。
袋引きのチキンレース
競りの駆け引きとは別に、袋からタイルを引く賭けの要素もあります。NEZ さんは、ラーを引きすぎると何も取れずに終わることから、終盤を「ギリギリを攻めるチキンレース」と表現しています。一方でやすやすさんは、袋引きによる運の要素があるおかげで考えすぎが途中で打ち切られ、区切りが何度も来るので最後まで前向きに遊べると書いています。
同じまとまりでも、人によって価値が違う
あんさんは、タイルのまとまりが持つ価値の多様さにラーの魅力を見出しています。8つのカテゴリーがそれぞれ異なる得点の仕組みを持ち、災害のようなマイナスのタイルも混ざります。そのため、同じまとまりでも欲しい人とそうでない人が分かれ、同じ人にとっても取るタイミングによって価値が変わります。限られた回数しか落札できないなかで、どれを取るか。ここにジレンマが生まれます。
ボドゲレビュアーズのレビュアー3名のおすすめ度は7、8、7点で、平均は10点満点の7.3点です。Wikipedia は、Ars Technica のレビューが、ラーを「最も優れた競りゲームかもしれない」と評したことを紹介しています。
第4版で見やすくなった盤面
2022年の第4版について、Gaming with Sidekicks は、ゲーム内容自体は初版と同じで、変わったのは見た目と一部の部品だと説明しています。ラーの進行は、ラーのタイルを盤に並べる方式から、太陽の船がボードの上部を進む方式に変わりました。盤を裏返せば、従来どおりタイルを並べる方式でも遊べます。
気になる点
レビューで挙げられていた不満点は、得点の分かりにくさです。NEZ さんは得点チップが分かりにくいと書き、やすやすさんは得点の入り方が直感的でなく、タイルの絵柄が得点と結びつきにくいと書いています。ルールの複雑さは、3名とも10点満点の5点を付けています。
ただし、この2つのレビューに載っている写真は旧版のものです。第4版では、Wikipedia によればタイルの絵柄が分かりやすくなり、プレイヤーボードに得点の早見表が付きました。カテゴリーごとに得点の仕組みが異なる点自体は変わりませんが、やすやすさんは、ルール説明のときやゲーム中に得点の仕組みを確認し直せば克服できると書いています。
もう1つは運の要素です。ボドゲレビュアーズでは運の要素に6〜7点が付き、Wikipedia の基本情報欄でも運の度合いは「中」です。袋から何が出るかで展開が大きく変わるので、純粋な読み合いだけで勝敗を決めたい人には、引きの偏りが気になる場面があるでしょう。
ラーをおすすめしたい人
当店の商品説明では、3〜5人で遊ぶと最も盛り上がるとしています。1時間以内に終わるため、ゲーム会の最初の1本にも締めの1本にも使えます。やすやすさんがおすすめに挙げているのは、意外にもボードゲームの初心者と競りゲームの初心者です。競りで脱落しにくい作りなので、競りに苦手意識がある人を誘いやすいゲームです。
マフィアをテーマにしたカードゲーム『ラッツァ!(Razzia)』は、ラーの基本ルールをもとにしたリメイクです。あんさんによれば、ラッツァ!はタイルにあたるカードが3分の2ほどに減り、災害にあたるものが入っていません。手軽に遊びたいなら『ラッツァ!』、競り合うまとまりの価値が人によって大きく変わる駆け引きを味わいたいなら『ラー』が向いています。クニツィアの作品では、5歳から遊べる協力ダイスゲーム『Mmm!』のレビュー記事も当店のブログにあります。
ラーの輸入版で遊ぶときの注意
当店の商品は 25th Century Games の英語版で、日本語説明書は付属しません。手番の流れや得点の仕組みは、この記事の「ルールと遊び方」にまとめました。
ボドゲレビュアーズの記事は、ラーの出版社として alea や Rio Grande Games と並べて New Games Order を挙げています。一方、25th Century Games の第4版に日本語版があるかどうかは、調べた出典では確認できませんでした。
よくある質問
何人で遊べますか?
2〜5人です。当店の商品説明では、3〜5人で遊ぶと最も盛り上がるとしています。
1ゲームにかかる時間は?
出版社の 25th Century Games は30〜60分と表記しています。販売店や Wikipedia には45〜60分とするものもあります。
何歳から遊べますか?
対象年齢は12歳以上です。出版社のほか、Wikipedia や販売店の表記も12歳以上で一致しています。
旧版とルールは違いますか?
ルールは初版と同じです。第4版では、ラーの進行を太陽の船で示す方式に変わりましたが、ボードの裏面を使えば従来の並べ方でも遊べます。
英語が読めなくても遊べますか?
日本語説明書は付属しません。ルールは、英語のルールブックか、この記事の「ルールと遊び方」で確認できます。
商品情報
価格は 14,800 円です。新品未開封の並行輸入品で、言語は英語、日本語説明書は付属しません。
ラー(Ra)の商品ページ
通販ページで商品を確認する参考情報
- 25th Century Games「RA (Regular Edition)」: https://25thcenturygames.com/products/ra-regular-edition
- Wikipedia「Ra (board game)」: https://en.wikipedia.org/wiki/Ra_(board_game)
- ボドゲレビュアーズ「ラー / Ra」: https://tabitabi-podcast.com/boardgamereview/ra/
- Gaming with Sidekicks「RA from 25th Century Games: What's New and What's Not」: https://gamingwithsidekicks.com/2022/05/02/ra-from-25th-century-games-whats-new-and-whats-not/
出典によってプレイ時間の表記が異なります。出版社の 25th Century Games は30〜60分、Wikipedia と一部の販売店は45〜60分としています。