【ゲームレビュー】ザ・クルー:第9惑星への旅 - 2020年ドイツ年間ゲーム大賞受賞の協力型トリックテイキングゲームを解説
宇宙の果てに眠る謎の第9惑星を発見する壮大なミッションが、あなたを待っています。
2020年にKennerspiel des Jahres(ドイツエキスパートゲーム大賞)を受賞し、世界中のボードゲーム愛好家から絶賛された「ザ・クルー:第9惑星への旅(The Crew: The Quest for Planet Nine)」。
この記事では、なぜこのゲームがトリックテイキングゲームの革命と呼ばれるのか、実際のプレイ体験とともに詳しく解説します。
初心者から上級者まで、このゲームの真の魅力を余すところなくお伝えします。
ゲームの基本情報
協力型トリックテイキングという革新的なメカニクスで、全員が協力して特定のミッション達成を目指します。
- プレイ人数: 3-5人(2人用バリアント「JARVIS」システムあり)
- プレイ時間: 約20分(1ミッション約10分)
- 対象年齢: 10歳以上
- ゲームデザイナー: Thomas Sing
- 出版社: KOSMOS
「ザ・クルー」の核となるメカニクスは、協力型トリックテイキングです。
従来のトリックテイキングゲームでは各プレイヤーが個別に勝利を目指しますが、本作では全員が協力して特定のミッション達成を目指します。
プレイヤーたちは宇宙船のクルー(乗組員)となり、謎の第9惑星を調査する「ノーチラスプロジェクト」のメンバーとして50の段階的なミッションに挑戦します。
4のロケットカード(最高位の切り札)を持つプレイヤーがその回のコマンダー(司令官)となり、ミッションの戦略を率先して考える役割を担います。
各ミッションでは、プレイヤーがランダムに配られたタスクカード(特定のカードを獲得する目標)を達成する必要があります。
しかし、宇宙空間では自由な会話ができません。
各プレイヤーは1ミッションにつき1回だけ「無線通信トークン」を使用して、手札の1枚について「最高値」「最低値」「唯一」のいずれかの情報を伝えることができるのみです。
ザ・クルーの魅力:なぜ世界中で絶賛されるのか
革新的な協力システムと段階的な難易度設計により、手軽さと戦略性の絶妙なバランスを実現しています。
革新的な協力システムが生み出す極上のパズル体験
レビューサイト「All You Can Board」では「The Mind meets trick-taking games(ザ・マインドとトリックテイキングの融合)」と表現されており、これが本作の本質を的確に表しています。
無言でのプレイという制約の中で、仲間との息の合わせ方や戦略的思考が問われるのです。
実際のプレイでは、「なぜあの人は今そのカードを出したのか?」「この無線通信は何を伝えようとしているのか?」といった推理が常に求められます。
Board Game Questのレビューでは「一度もつまらないターンがなかった。常に他のプレイヤーの動きを注視し、自分のプレイがチームにどう貢献できるかを考え続ける」と評価されています。
段階的な難易度設計による継続的な挑戦
50のミッションは巧妙に設計されており、初期のミッションは1つのタスクカードを獲得するだけの単純なものから始まります。
しかし後半のミッションでは、以下のような複雑な条件が組み合わされます:
- 特定の順序でタスクを達成する必要がある
- 特定のプレイヤーは一切のトリックを取ってはいけない
- 最後のトリックのみで特定のカードを取る
What's Eric Playingのレビューでは「43回プレイしたが、まだミッション10-15程度しか到達していない。それでも毎回新鮮で飽きることがない」と報告されており、その奥深さが伺えます。
手軽さと戦略性の絶妙なバランス
リーズナブルでありながら、コンパクトな箱に収められた内容物で無限に近いリプレイ価値を提供します。
The Family Gamersのレビューでは「何時間でもプレイし続けてしまう中毒性がある」と述べられており、その魅力が伝わります。
カードの品質についても、ドイツ版から改良が加えられ、「カラフルで視認性が高く、色覚に配慮したシンボルも使用されている」とGeeky Hobbiesで評価されています。
気になる点と対策
運の要素による難易度変動や2人プレイ時の体験など、いくつかの課題もありますが、適切な対策で楽しめます。
運の要素による難易度の変動
最も多く指摘される問題点は、カードの配り方や引かれるタスクカードによって、同じミッションでも難易度が大きく変わることです。
Board Game Reviewでは「運が悪いと最初からクリア不可能な配置になることがある」と正直に記載されています。
対策: しかし、What's Eric Playingでは「失敗してもすぐに再挑戦できる手軽さがあり、むしろ『今度こそ!』という気持ちになる」と前向きに評価されています。
1ミッション約10分という短時間プレイなので、失敗を恐れずにチャレンジできる設計になっています。
2人プレイ時の体験の質
2人用バリアント「JARVIS」システムは存在しますが、複数のレビューで「パズル的すぎて協力ゲームの魅力が薄れる」と指摘されています。
対策: 公式でも箱に「3-5人用」と明記されており、3-4人でのプレイが最も推奨されています。
All You Can Boardでは「4人プレイが挑戦と楽しさのバランスが最も良い」と評価されています。
初心者への配慮の必要性
The Family Gamersでは「最初は特に子どもたちが慣れるのに時間がかかった」と報告されています。
また、日本のレビューサイトでは「ルールを理解せず適当にプレイすると、みんなの足を引っ張ることになる」という指摘もあります。
対策: まずは簡単なミッションで練習ラウンドを行い、全員がルールとコツを理解してから本格的なミッションに挑戦することが推奨されています。
トリックテイキング自体のルールは非常にシンプルなので、一度理解すればスムーズに楽しめます。
こんな人・シーンにおすすめ
トリックテイキング初心者から上級者まで、さまざまなシーンで楽しめる万能ゲームです。
トリックテイキング初心者にこそプレイしてほしい
Geeky Hobbiesでは「トリックテイキングが苦手な人でも楽しめる可能性がある」と評価されており、「トリックテイキングの練習にもなる」とThe Family Gamersでも言及されています。
協力要素があることで、競争的な雰囲気が苦手な人も安心して楽しめます。
家族・友人グループでの定期的なゲーム会
3-4人の固定メンバーで継続的にプレイすることで、50のミッションを通じた冒険ストーリーを共有できます。
Board Game Reviewでは「同じグループで進めることで、お互いの思考パターンを理解していく楽しさがある」と述べられています。
旅行や外出先での手軽なエンターテイメント
コンパクトサイズで持ち運びやすく、The Family Gamersでは「理想的な旅行パートナー」と表現されています。
「バルコニーでワインを飲みながらプレイする姿を想像するだけで魅力的」というレビューも印象的です。
協力ゲーム好き・パズル好きへの新しい挑戦
「The Mindのような息を合わせるゲームが好きだが、もう少し戦略性のあるものを求めている」人には完璧なゲームです。
日本のレビューでは「The Mindは息を合わせるゲーム、ザ・クルーは思考を合わせるゲーム」と的確に分析されています。
このゲームをプレイすることで、無言でのコミュニケーション能力、論理的思考力、チームワークといったスキルを楽しみながら向上させることができます。
何よりも、ミッション達成時の達成感と一体感は他では味わえない特別な体験となるでしょう。
ザ・クルーは、シンプルながらも奥深く、手軽でありながらも本格的な、まさに現代ボードゲームの傑作です。
トリックテイキングゲームに革命をもたらしたこの作品を、ぜひあなたの仲間と一緒に体験してみてください。
日本全国送料無料。15時までのご注文は当日発送しております。
参照元・引用元
- Board Game Quest - The Crew: The Quest for Planet Nine Review
- Meeple Mountain - The Crew: The Quest for Planet Nine Game Video Review
- Board Game Review - The Crew: The Quest For Planet Nine Review
- All You Can Board - The Crew: The Quest for Planet Nine Review
- What's Eric Playing? - The Crew: The Quest for Planet Nine Review
- The Thoughtful Gamer - The Crew Review
- Geeky Hobbies - The Crew Card Game Review and Rules
- The Family Gamers - The Crew: The Quest for Planet Nine
- 親子ボードゲームで楽しく学ぶ - ザ・クルー:第9惑星への旅レビュー
- note - ザ・クルー 第9惑星の探索 ルール / サマリー