Tapestry(タペストリー)レビュー:美しいビジュアルに隠された深い戦略性を持つ文明発展ゲーム
Stonemaier Gamesの2019年作品「Tapestry」は、従来の文明ゲームとは一線を画する革新的なデザインで話題を呼んだボードゲームです。
本記事では、実際のプレイヤーレビューと詳細な分析を通じて、このゲームの真の魅力と注意点を詳しく解説します。
Tapestryの購入を検討している方や、新しいタイプの文明ゲームを探している方にとって、貴重な判断材料となるはずです。
ゲームの基本情報
Tapestryは4つの発展トラックを進めて文明を発展させる、1-5人用のエンジンビルディングゲームです。
Tapestryは1-5人用(推奨2-4人、ベスト3人)、プレイ時間90-120分、対象年齢12歳以上のゲームです。
デザイナーはJamey Stegmaier、アーティストはAndrew BosleyとRom Brown、そしてStonemaier Gamesが発行しています。
ゲームの核となるメカニクスは、4つの発展トラック(科学、技術、探索、軍事)を進めて段階的により良い恩恵を得ることです。
特定のトラックに集中することも、バランス型アプローチも可能で、プレイヤーごとに異なる文明カードが配られ、それぞれユニークな能力を持ちます。
Tapestryの魅力:従来の文明ゲームを超えた新体験
Tapestryは「ピンボールマシン」のような連鎖と、非対称文明による無限の戦略バリエーションが魅力です。
シンプルながら奥深いターン構造
Tapestryの美しさは、その選択肢の絞り込みにあります。
どのターンでも、4つの発展トラックのいずれかを進むか、収入ターンを取るかの5つの選択肢のみが提示されます。
ルールブックはわずか数ページで、5分程度で新しいプレイヤーも理解できる簡潔さを実現しています。
しかし、ゲーム中盤からは、コンボムーブが構築でき、より強力で複雑なターンが可能になります。
科学トラックを進めることで科学ダイスを振り、他のトラックも進めることができ、第2エラの中盤からは2つのトラックを進める際に両方の恩恵を得られます。
斬新なピンボール的ゲーム体験
Tapestryは「ピンボールマシン」のような体験を提供します。
トラック同士が相互に連鎖し、探索アクションを軍事アクションより先に行うことで、より大きな恩恵が得られるような順序があります。
これはピンボールで特定の順序で光を当てることでゲームモードが発動し、大量の得点を獲得できることと似ています。
非対称文明による無限の戦略バリエーション
16種類の文明カードがそれぞれ大きく異なる能力を持ち、プレイヤーを異なる戦略へと導きます。
例えば、Militantsは征服するたびに文明ボード上のアウトポストを移動させ、新しい恩恵を露出させます。
一方、Futuristsは最初から4つのトラック全てで4マス進んだ状態でスタートします。
この非対称性により、勝利への道筋が毎回異なり、同じ文明を使っても戦略の改善余地があるため、リプレイ性が非常に高いのです。
美しいコンポーネントと触感へのこだわり
プレイヤーボードからルールブックまで使用されている艶消し質感は、機能的であるだけでなく触感も素晴らしいものです。
彫刻された建物は美しく、触感があり、卓上での存在感が素晴らしい特徴を持っています。
Andrew Bosleyによるアートワークは美しい世界を創造し、カード、マット、タイルの細部まで素晴らしい出来栄えです。
色彩は落ち着いた色調で非常に心地よく、過度に彩度が高くなく、時代を超越したユニークな感覚を与えます。
気になる点と対策
文明ゲームとしての期待とのギャップや、文明バランスの問題がありますが、それぞれ対策があります。
文明ゲームへの期待とのギャップ
「文明ゲーム」という期待で購入した人にとって、Tapestryは期待と異なる体験になる可能性があります。
文明ゲームとして、ファンが期待するような体験を提供しない面があります。
対策: 文明ゲームではなく「エンジンビルディングゲーム」として捉えれば、このギャップは解消されます。
もし伝統的な文明ゲーム体験を求めているなら、このゲームは適さないかもしれません。
しかし、美しく作られたゲームで高い満足感を求めているなら、愛用できるでしょう。
文明バランスとランダム要素
一部の文明が他より強力で、ランダムなカードドローによって戦略に影響が出るという指摘があります。
Jamey Stegmaierは、コミュニティからのデータを基に、文明の調整版をリリースしました。
対策: 公式の調整版文明を使用することで、バランス問題は改善されています。
また、「良い」カードを引けなくても戦略を少し変更して適応することで、カードに対応できます。
ソリタリー性への批判
プレイヤー間の相互作用が薄く、ソリタリーゲームのように感じられる場合があります。
対策: Tapestryは自分が作りたいものによって変わります。
領土を征服し、同じトラックで他のプレイヤーと競争することで、より相互作用的にプレイできます。
プレイヤー同士が異なるスタイルでプレイしようとする場合、一部のプレイヤーには不満が生じる可能性があります。
ランドマーク建物の活用度
美しいランドマーク建物が中心的な要素でないことや、大きすぎて配置できない場合があることが惜しい点です。
対策: ランドマークは「ボーナス」として考え、首都マットからはみ出しても配置できることを活用しましょう。
こんな人・シーンにおすすめ
美しく制作されたゲームで高い満足感を求める人や、非対称ゲーム体験のファンに最適です。
こんなプレイヤーに最適
- 美しく制作されたゲームで高い満足感を求める人
- 非対称ゲーム体験のファン
- 2時間程度の中重量級ゲームを求めるカップル
- ピンボールのようなコンボや連鎖を楽しめる人
おすすめプレイシーン
- デートナイトゲーム: 2人プレイで90-120分の素晴らしい体験
- ゲーム初心者への導入: 複雑に見えて実はシンプルな構造
- ソロプレイ: パンデミック時代の貴重な娯楽として高評価
期待できる効果
- 毎回異なる戦略が要求されるため、快適ゾーンから出て新しい戦略を試す機会
- 文明の物語が展開される中で、記憶に残るゲーム体験
- 複数の勝利ルートと多様な戦略の組み合わせによる「箱の中の旅」
Tapestryは、従来の文明ゲームの枠を超えた革新的な作品です。
美しいビジュアルと洗練されたメカニクス、そして無限に近いリプレイ性を持つこのゲームは、新しいタイプのゲーム体験を求める人にとって最高の選択肢となるでしょう。
約2時間で文明の歴史を紡ぐ、この特別な体験をぜひ味わってみてください。
日本全国送料無料。15時までのご注文は当日発送しております。
参照元・引用元
- Board Game Review: Tapestry - That's What Jenni Said
- Tapestry Review - Board Game Quest
- Tapestry: It's Not a CIV Game, and That's Okay - Northern Tabletop Gaming
- Tapestry - Stonemaier Games
- Tapestry Game Review - Meeple Mountain
- Tapestry Board Game Review - Board 'N' Bones
- Tapestry Review - What Board Game
- Tapestry Review - The Tabletop Family